日本に馴染み深い昆布の特徴や栄養についてご紹介。美味しいだけでなく、身体にも優しい昆布で健康になりましょう。

昆布のちから

日本食の味のベースとして愛好されてきた昆布

昆布は、低カロリーで、しかも食物繊維やミネラルといったさまざまな成分を含んでおり、わたしたちの体にとってやさしい食品です。
昆布の栄養と効用についてご紹介します。

やまだし昆布

キャベツやレタスより豊富な食物繊維

腸のぜん動(食物の消化を助ける動き)を刺激して、便秘を防いでくれます。腸での糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。過激なコレステロ−ルを包み込んで、そのまま体外へ排出するので、コレステロールが血管の壁に付くのを防ぎ、動脈硬化を予防してくれます。また、コレステロ−ルが取り除かれると、血液の流れが良くなるため、血圧が下がり、高血圧の予防につながります。

昆布の気になる塩分

延長5(927)昆布は海藻なので、当然塩分が多く気になるところですが、その塩分の半分以上はカリウムです。同じ塩分で、高血圧の原因になると言われているナトリウムよりも、カリウムは多く含まれています。カリウムが多いと、ナトリウムの悪い働きを抑えられます。また、夏バテ防止はカリウムの大切なはたらきです。昆布は、塩魚や漬物などから塩分を多く摂りがちな日本人にとっては、必要不可欠な食品なのです。

昆布の健康効果

高血圧を予防するラミニンとフコイダン

ラミニンとは昆布の科学的な名前「ラミナリア」に由来し、血圧降下作用がある言われいます。昆布はフコイダンを豊富に含み、消化管にはたらきかけて、体内の血液に血栓を溶かすホルモンを分泌させます。血栓とは、がんやコレステロールなどの影響で血管内にできた血の塊のことで、血栓は心臓病や脳内出血の原因になりますが、フコイダンには血栓を消すはたらきがあります。
また、消化器官にはたらきかけ、アレルギーを抑えます。

ダイエットにぴったりの低カロリー食品

現代の食生活で多くなったファストフードを代表とする高カロリー食品の採りすぎは、肥満や生活習慣病への道を進んでしまいます。昆布は、栄養的にはほとんどノンカロリーと言える低カロリー食品の代表格です。
また、消化されにくい食物繊維を多く含むため、満腹感が得られ、食べ過ぎによる肥満を予防してくれます。
ダイエット中に、不足しがちなミネラルなど、栄養素もたっぷりです。

同じ量の牛乳の4〜14倍ものカルシウム

牛乳よりも豊富なカルシウム

カルシウムの欠乏が原因のひとつと考えられる骨粗鬆症は、とくに老年期の女性に多く見られる病気です。骨は常に新陳代謝を行なっているので、日常的にカルシウムを補給することが必要となりますが、カルシウム摂取の代表格である牛乳に比べ、昆布は同じ量でも4〜14倍ものカルシウムが含まれています。食べやすい昆布などの海藻類からカルシウムを十分に補給することが大切です。

野菜より強いアルカリ食品の王様

アルカリ食品でもトップクラスの栄養素

健康な人間の身体は通常、弱アルカリ性といわれています。しかし現代の食生活は、昔の魚介や野菜、穀類などから変化し、ほぼ肉類や卵、スナック菓子などを中心とした西欧型になってきており、身体はどうしても酸性に傾きがちです。昆布はアルカリ食品であるため、肉類などに多く含まれる酸を中和し、身体のバランスをも保つのに役立ってくれます。

機能性物質フコキサンチン

昆布、ワカメ、ひじきなどの黒に近い褐色の海藻を褐藻といいます。その褐色はフコキサンチンとというカロテンの仲間の物質の色です。フコキサンチンは脂質代謝を調節して、メタボリックシンドロームをおさえるはたらきがあります。

金沢 和樹先生

金沢 和樹(かなざわ かずき)先生

  • ■神戸大学名誉教授 / 吉備国際大学教授
  • ■専門分野:栄養化学、生化学、食品機能化学